( 新撰組 * 恋情録 )

 「 ぅ―‥暇‥ 」

 特に仕事もなく部屋に戻ったあたしは、
 微かに土方さんの匂いが残る布団に
 包まったり ごろごろしたりと、
 完全に暇を持て余していた。

 携帯もない。パソコンもない。
 ゲ―ム機もCDも何もかも。
 いつも暇を潰していたものたちは、
 " 此処 " にはことごとく
 存在しないのだ。

 それなら剣を教えてもらおうと 総司を
 探してみても、任務の後処理で
 忙しそうな姿が見えたから、
 やっぱり諦めるしかなかった。

 「 あ―あ‥ 」

 大きく溜め息を吐いたその時、
 僅かに辺りが騒がしくなった。

 長州、古高、計画‥

 そんな言葉達が飛び交っているのが
 聞こえる。

 「 ど―したのかな‥? 」

 襖をちょっとだけ開けて
 顔を廊下に突き出すと、
 いきなり目の前に足が現れ‥

 「 えっ? 」

 「 わわッ?! 」

 ―――ズデ―ン!!

 小気味良い音が、辺りに響いた。
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