( 新撰組 * 恋情録 )

　[　土方side　]

　｢ ‥土方さんよ、ちょっと
　　　　　　言い過ぎなんじゃねぇか? ｣

　｢ ‥話し合いに戻るぞ ｣

　――そんなこと、言われなくても
　分かってるさ。
　あいつの震える背中が物語ってた。

　｢ お前に聞かせたくねぇ ｣

　せめてそれくらいの言葉を
　何故俺は言ってやれねぇ?

　｢ 関係無い ｣

　――最悪じゃねぇか。

　自分で拒絶しておいて、
　あいつを傷付けておいて。

　今こうして後悔してる。
　情けねぇったらありゃしねぇよ。

　余裕が崩れる。
　格好付かねぇ。

　あいつは俺を、
　ことごとく狂わせるんだ。

　｢ ‥さん‥‥土方さん! ｣

　｢ あ‥あぁ、悪い。どうした? ｣

　｢ だから、近藤さんの隊と
　　土方さんの隊、どっちがどっちに
　　　　　　　　　行くかって話だよ! ｣

　｢ 大丈夫かよ?土方さん ｣

　｢ ‥問題ねぇ。 ｣

　言葉とは裏腹に、溜め息が漏れた。