( 新撰組 * 恋情録 )
( や、やっぱり怒ってるんだ‥ )
どうしよう。謝らなきゃ‥!
そう思って、口を開きかけた時。
「 ‥一つ、聞いても良いか? 」
土方さんの 低くて少し掠れた声が、
耳元で所在無さ気に揺れた。
「 えっ‥い、いいよ‥? 」
出鼻をくじかれたあたしは
吃りながら答える。
「 お前には‥ 」
土方さんは、一旦そこで言葉を切った。
そして あたしを抱き締めていた
腕を解き、肩を掴む。
「 新撰組の未来が、見えてんのか? 」
―‥どきっとした。
そう尋ねた土方さんの瞳は
期待のような恐れのような、
複雑な何かを内包している。
あたしは、どう答えたら良いんだろう。