( 新撰組 * 恋情録 )
「 ったく‥お前は言いたい事まで
迷子になんのか? 」
酷く優しい声色で、土方さんは
淀みなく言葉を紡ぐ。
「 もう一回落ち着いて言ってみろ。
お前はこの時代で‥何がしてぇ? 」
通常よりずっと速いリズムで
刻まれていた鼓動が、すぅっと
落ち着くのを感じる。
「 ‥あたしにできることは少ないかも
しれないけど、皆と一緒に闘って‥
共に生きたい。もっともっと皆の
事を、知りたい‥好きになりたい 」
――今度は、ちゃんと言えた。
「 だめ‥ですか? 」
上げた視線が土方さんとぶつかる。
「 ‥後悔、しねぇか 」
伏せられた睫毛と強い眼差しは、
酷く絵になる。
「 これから新撰組はきっと、
血の色に塗れる。血の歴史を刻む。
当然死人も出るし、お前にも、
身の危険が迫るかもしれねぇ。
そんな時、お前は後悔しねぇか?
それでも俺達と共に‥ 」
強かった眼差しが、
一瞬縋るように揺らいだ。
「 生きてぇと‥思うか 」