( 新撰組 * 恋情録 )
「 止まれ! 」
俺は のろのろと進む " 奴ら " の
進路を塞ぎ、声を張り上げた。
「 ‥貴様、何者だ!邪魔をするな! 」
「 新撰組副長、土方歳三!此処から
先は、誰で有ろうと通さねぇ 」
ざわ‥
会津藩、桑名藩からなる " 応援部隊 "
が、一斉にざわつき始めた。
「 何故味方で有る貴様が我らの前に
立ちはだかる?我らは新撰組に応援を
要請され、藩命を受けて此処に
参った次第!それを突っぱねるのは、
お門違いというものでは有るまいか! 」
負けじと大声を張り上げてきた
向こうの頭らしき男を睨み据える。
「 ごちゃごちゃうるせぇ!それは、
手柄を横取りする口実だろうが!
‥今実際に池田屋にて詮議を
行っているのは、我ら新撰組!
一切の手出し無用、あんたらが
参戦する事は、俺が断じて許さねぇ 」
強くそう言い切ると、向こうは
「 し、しかし‥ 」
と言ったきり、黙り込んでしまった。