( 新撰組 * 恋情録 )

 「 止まれ! 」

 俺は のろのろと進む " 奴ら " の
 進路を塞ぎ、声を張り上げた。

 「 ‥貴様、何者だ!邪魔をするな! 」

 「 新撰組副長、土方歳三!此処から
     先は、誰で有ろうと通さねぇ 」





 ざわ‥





 会津藩、桑名藩からなる " 応援部隊 "
 が、一斉にざわつき始めた。

 「 何故味方で有る貴様が我らの前に
  立ちはだかる?我らは新撰組に応援を
  要請され、藩命を受けて此処に
  参った次第!それを突っぱねるのは、
  お門違いというものでは有るまいか! 」

 負けじと大声を張り上げてきた
 向こうの頭らしき男を睨み据える。

 「 ごちゃごちゃうるせぇ!それは、
  手柄を横取りする口実だろうが!
  ‥今実際に池田屋にて詮議を
  行っているのは、我ら新撰組!
  一切の手出し無用、あんたらが
  参戦する事は、俺が断じて許さねぇ 」

 強くそう言い切ると、向こうは

 「 し、しかし‥ 」

 と言ったきり、黙り込んでしまった。
< 68 / 117 >

この作品をシェア

pagetop