( 新撰組 * 恋情録 )
ぴちゃぴちゃと、布を水に
浸す音が聞こえる。
そしてそれが 額に乗せられる感触。
「 ‥ん‥‥ 」
ここは、病室‥?
あたしは現代に戻れたの?
「 ‥目が覚めたか 」
「 っ?! 」
違う、ここは病室なんかじゃない。
天井は粗末な板、床は畳。
あたしが寝ているのは布団‥
そして目の前には、
見知らぬ美形な男の人―‥
ガバッ
「 あなたは‥―痛っ‥! 」
「 無理をするな。まだ熱がある、
大人しく寝ていろ。 」
「 あ、はい‥‥じゃなくてっ! 」
喋ると頭痛がしたけれど、
構わずに続ける。
「 あなたは誰?! 」
「 ‥人に名を聞く時は
自分から名乗るものだ。 」
「 え、あ、はいごめんなさい‥?
霧島凜咲、です。貴方は‥? 」
「 ‥新撰組三番隊組長、斎藤一。 」
「 新撰組?! 」
「 如何にも。此処は新撰組屯所。 」
( そんな‥やっぱりここは幕末の‥
しかも、京都だっていうの? )
――スパンッ
勢い良く襖の開く音。
目を向ければそこには、
二人の美男子が立っていた。