( 新撰組 * 恋情録 )
>> 沖田side
「 当たり、か‥ 」
・
俺は口元を歪めながら、
小さくそう呟いた。
「 近藤さん、どうします?
応援を待つか‥それとも
私達だけで突っ込むか 」
「 うむ‥ 」
近藤さんは考え込む素振りを見せた。
――この人は、優しいから。
死人を多く出さない為にも、
少ない人員だけで突っ込む事を
なるべくなら避けたいんだろう。
だけどさ‥
・・・・・
足手まといをたくさん引き連れるの、
俺は御免なんだけどな?
そんな思いを込めて
近藤さんを見つめてみる。
「 ‥これ以上待っていたのでは、
改められるものも改められん。
仕方無い、俺たちだけで行こう 」
――それでこそ、新撰組局長だよ。
俺は口元が笑みの形に歪むのを
止められない。
「 皆、覚悟は良いな?‥では、出陣! 」
――そして俺達は近藤さんを皮切りに、
僅か四名で池田屋へと踏み入った。
それも、正面から。
「 ほんっと‥近藤さんらしいや 」
普通裏口から入ったりするものだと
思うんだけど、奇襲って。
「 ‥で、俺と闘いたい奴は居ないの?
退屈だから早く来てよ 」
慌てふためく長州藩士達に向かって、
俺は余裕の笑みを浮かべた。