( 新撰組 * 恋情録 )

 「 目は覚めたみてぇだな。 」



 一人は、漆黒の髪に切れ長の
 同じく漆黒の瞳、高い鼻と
 引き締まった唇を持つ、
 かなり整った容姿の怖そうな男の人。



 「 大丈夫ですか?熱は下がりましたか? 」



 もう一人は、ニコニコと
 底の見えない笑みを浮かべる
 華奢で美しい顔立ちの美青年。



 ( 新撰組ってことは、もしかして‥ )



 「 土方歳三と、沖田総司‥? 」



 そう言うと二人は驚いた顔をした。



 「 てめぇ、何で俺達の名前を
  知ってやがる‥? 一度も名乗った
       ことはねぇはずだよな? 」



 土方歳三と思われる人物が
 眉間に皺を寄せてあたしを睨む。



 「 こう見えて、長州の間者
     だったりしたらどうします? 」



 何処か面白そうに微笑みながら
 そう問い掛けた沖田総司に、
 土方歳三は冷たい声で答えた。





 「 ―斬る。 」
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