( 新撰組 * 恋情録 )

 ( 謝ら、なきゃ )



 込み上げたのは、罪悪感と自己嫌悪。



 ―――あたしがもっと新撰組について
    知っていれば。

 ―――当たりが池田屋だって
    思い出せていれば。

 ―――もっと早くあの部屋に
    駆け付けられていれば。

 ―――総司を守れる位に、強ければ。



 きっと、総司があんな辛い顔を
 することはなかった。

 池田屋で倒れる事もなかった。

 この先、病に悩まされる事もなかった。



 「 総司を守れなかった‥っ
         救え、なかった‥! 」

 布団を強く握り締める。
 悔しさは消えてくれない。





 「 ‥‥俺がどうしたって? 」

 「 ! 」





 滲んできた視界に瞬きを繰り返せば、
 映ったのは柱に寄り掛かり
 あたしをじっと見つめる総司の姿。

 「 詳しく聞いた方が良さそうかな 」

 君の体調が大丈夫なら、と付け加え
 あたしの枕元に寄って 総司は
 胡座をかく。
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