( 新撰組 * 恋情録 )
「 まぁ歴史云々を抜きにしたって、
女の子に守られて嬉しい男なんて
はっきり言って居ないと思うよ? 」
総司の言葉が、すとんと胸に落ちる。
「 土方さん辺りなら、こう言うん
じゃない?女は男の背に
守られてれば良い、とかって。
あの人クサい台詞大好きだしね 」
『 約束だ。俺から絶対に離れるな。
目の届かねぇ範囲に居られて、
守ってやれる自信はねぇんだよ 』
「 ‥‥言いそう、かも 」
「 ぷっ、あははは! 」
いつだってあの人は、大きな背で
あたしを庇ってくれる。
大きな手であたしを守ってくれる。
鋭い漆黒の瞳であたしを
見つけてくれるんだ。
『 ‥また土方さんの事考えてるし 』
あたしに聞こえない音量で総司は
もう一度何かを呟く。
「 ‥ま、そういう訳だから、君は
大人しくあの人に守られてなよ 」
そして " あの人に " の部分を
強調してそう言うと、何故か少し
不機嫌な顔をした。
「 え、何で不機嫌なの総司 」
「 別に?誰かさんが
あまりに鈍感だからさ 」
「 え、ごめんあたし何かした‥? 」
「 別に。はい後一回ね 」
「 あわわっ 」