今でもキミを

*くもりのちはれ



「楓ー!!見て!同じクラスだよ!」


淡い水色を背景に
風に舞うピンクの桜の花びら。

春。
四月。

あたしは名門、桜ケ丘中央高校の前にいた。
おろしたてのピカピカのブレザー。
赤と黒と白のチェックのネクタイ。
膝上10センチの紺のスカート。

あたしは高校一年生になった。



「ほんとだ!やったぁぁ!」



井上楓。

バカでアホで顔だって
特別可愛いってわけじゃない。
性格は明るい方。
これが唯一の自慢できるところ。
成績はというと
中学校の数学のテストは
赤点以外取ったことがなかったし、
英語なんて赤点どころじゃない。

こんなあたしが
なぜこの県内でもトップクラスの名門校に入学できたのには深いわけがあった。



「三笠先輩いるかなぁ・・・」



三笠龍輝。

桜ケ丘高校三年生。
真っ黒の黒髪。
すらっと高い身長。
笑うとできるえくぼ。
頭もいいし
勉強だってできる。
とにかくすんごくかっこよくて、
この人目当てでこの高校を希望する受験生もいっぱいいるらしい。

いっぱいいる中の一人がこのあたし。
そう。
あたしは三笠先輩に恋をしているのだ。

きっかけは8カ月前。
この高校のオープンキャンパスでのこと・・・





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