ヒーロー フロム ザ アトランティス
さて、精神を鍛え上げられているアトランティスの人間は、ちょっとやそっとのことでは驚かない。
そんなわけで、育ての両親は成人したハクの人権を尊重して彼にすべて話した。遺品も渡した。
ハクは人間が持っている郷愁の念にかられ、その日の夜家族が寝静まった頃を見計らってアトランティスを逃げ出した。
進化薬には、生みの親の遺伝子からネイティブな言葉を甦らせると同時に記憶成長させていく作用があったので、ハクは古代アトランティス大陸の言語を話す人魚の連中とは違った言葉も覚えていった。それはもちろん現代の英語だ。
おかげでハクは、ジュニアの遺品から祖父母の住所を巡り調べることに成功した。
陸にあがったハクは歩くことにまだ慣れてはおらず、くたくたになって祖父母の家にたどり着いた。
すっかり乾いていた体は、ひかるがたてた水音にすぐさま反応し、あっという間にプールに飛び込んでいたのだ。