ヒーロー フロム ザ アトランティス





ジャックの一家の生活は、母親が他人の家の洗濯や子守で得るわずかな収入によって支えられていた。



突然の申し出にもかかわらず、飲んだくれの父親は喜んでバーナードに息子を託した。



小さなズタ袋に息子の数枚の着替えを詰め込みながら、普段はたくましい母親が背中を丸め声を押し殺して泣いていた。


「これでいいのよ。こんなところにいたら、ジャックの一生は目に見えている」



「大丈夫だよ母さん、弟のジョンも来年は魚ぐらい獲れるようになるって!」


ジャックは母を慰めるように明るく言った。





思いもかけない現金を手にした父親は、別れのあいさつもそこそこに出かけて行った。



「お前を売った金なんぞ、あって間にバクチでスッてきちまうよ」


母は寂しそうに、だがすぐに明るい笑顔でジャックの肩を叩いた。


「一等賞になるんだよ」





お腹の大きい母と5人の弟妹に見送られて、バーナードとジャックは歩きだした。
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