ヒーロー フロム ザ アトランティス
「どちらにしろ、このアトランティス大陸が沈んでから、我々子孫が生き延びているのを知っている地上人は一人もいない。もし知られたら、高度な知識や財宝や資源を求めて地上からいろんな欲張りどもが押し寄せてくるぞ」
「ハクは純粋に祖父母に会いに行っただけだ。財宝や資源のことなど話はしないさ」
「子供はおしゃべりだ。・・・それに地上では幾度も戦争が起きている。今現在だってな。海底人は一度だって争ったことなど無い。無知で教養がなく偏見にまみれた残酷な地上人と関わり合うのはごめんだ。前にも船で遭難した人間を助けてやったが、財宝を盗まれた上逃げられたことがあったではないか!」
「でも、海上に出る前に死んでしまったよ。アトランティス・バリアが張ってあるエリアを出たら水圧で肺が押しつぶされてしまうからな」
「しかし大昔には、太平洋下の海底友好国のムーでウミガメ型潜水船を盗み、東の島国に無事帰った人間もいたらしいじゃないか」
「あの時はオト女王陛下が機転を利かせて、財宝の箱に仕掛けをなさっていたから、そいつは一気に年をとり、記憶を無くしてしまったらしいぞ」
「あぁ、〔ケース・ウラシマ〕で名高い記憶忘却煙幕ガスだな。さすが噂にたがわぬオト女王陛下だ!」
「おいっ、話がずれているぞ。今はハクをどうするかだ」
「連れもどせ!海底人のことを知られてはならん。そして我々も〔記憶一部切取薬〕を使ってハクと祖父母が会った事実を無かったことにしてしまうのだ」