ヒーロー フロム ザ アトランティス
その間地上では、ジャックがストップウォッチを手に目を丸くしていた。
「信じられん。まるでジェットエンジンが付いているようだ」
ハクはジャックの喜ぶ顔を見て、休み無く泳いだ。
「いいかげんお茶にしませんか?」
メアリーが二人を促した。
「メアリー見ろ。これならバルセロナオリンピックで、金メダル間違いなしだ」
「何を言ってるんです?」
「ハクのことだよ。いまから水泳協会に申し出れば、何とかなるぞ」
ジャックは自信満々だった。メアリーは驚いて叫んだ。
「冗談はよしてください。ジュニアのことは忘れたのですか?」
「忘れるものか、あいつは意気地なしだった。だが、その息子はとんでもない天才だ。ワシの血を十二分に受け継いでいる!」
「あなた・・・」
ジャックにはもう何を言っても無駄だった。