ヒーロー フロム ザ アトランティス





その夜南田家では、ひかるが久しぶりに早く帰宅した父親の洋一を相手に興奮していた。



「パパあたし、お隣にお友達が出来たの」



「・・・・・」



「聞いてるのパパ?お隣のおじーちゃんとおばあちゃんには、男の子の孫がいたのよ!」



「ひかる、食事のときは静かにしなさい」


洋一はひかるをたしなめた。



ひかるは構わず喋り続けた。子供にはよくある抵抗である。



「それでね、その子とっても泳ぐのが上手いの。なにしろ海から・・・・」



「うるさい!ちゃんと食べるんだ!」



洋一の怒鳴り声にひかるは一瞬黙って、それから関を切ったように泣き出した。



台所でデザートの用意をしていた母親の美知子が飛んできた。



「まあまあ、何があったの?ひかる話してごらんなさい」



「パパが怒鳴ったの」


ひかるはしゃくり上げて母親に抱きついた。



「さあさあ、パパは疲れてらっしゃるの。それで心にも無いことを言ってしまったのよ。今日はもうお休みなさい」


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