ヒーロー フロム ザ アトランティス





「参加することに意義あり!!なぁんて表では言っておいて、本心はメダルを取らないと、国民なんて冷たいもんです」



他国の国歌を悔しさの中で聞いていた美知子は、背後の声に振り向いた。



「あなたは、素晴らしいスイマーです。いつの日かきっと、センターポールに日章旗を掲げて下さい。そのとき僕は、あなたと一緒に君が代を歌うことでしょう」


オーバーアクションと共に洋一が叫んだ。



「あのぉー、失礼ですが」


美知子はきょとんとして尋ねた。


「失敬、申し遅れました。今春大学を出て、ヒノマルスポーツの競泳研究部門に入社した南田洋一ですっ。あなたが身につけていらっしゃる水着は我社のモノですよね!僕の考えでは、四半世紀のうちに、水着の形は大きく変わると思われます。未来の0コンマ1秒は水着が左右するのです!」



「はぁ・・・」



「だから僕、あなたの為に水着を作り続けます!」




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