ヒーロー フロム ザ アトランティス
最初の花火が上がるのを、コクとハクは陸から見ていた。
「とうさんとかあさんは元気かな?コク兄さん」
「僕は大会が終わったらお前を連れて帰るってクラゲを通して伝えてあるよ、ハク」
「おじいちゃんやおばあちゃんは?」
「もちろん一緒に連れて行けばいいのさ。僕はひかるを連れて行くんだ!」
「なるほどね!ところで僕らどっちが速いかな」
「当然僕さ!僕は生まれつきアトランティスの人間だもの」
「でも、エラも水かきも使わないで、地上人のヘンテコな泳ぎで競争するんだ。どっちが勝つかなんてわかるもんかい!」
「言ったな!こいつめ」
じゃれ合っている二人の耳に爆音が響いた。
振り向いた海上には炎が上がっていた。
コクとハクは顔を見合わせると、迷わず衣服を脱いで飛び込んだ。
まるでジェットスクリューを付けているがごとく、二人は船と陸を往復した。
みるみるうちに乗客が救助されていった。
しかし、船は予想以上に早く浸水していく。