ヒーロー フロム ザ アトランティス
タイムリーに救出できたのは、海底人たちが話し合いを求めて地上を目指していた途中で事故に遭遇したからだった。
アトランティスの首脳陣会議で、やはり誘拐など止めて対話を重視した平和的解決が一番と結論づいた結果でもあった。
人々は助かり船は沈んでしまった。
唯一船内に閉じ込められていた、ハルクン皇太子だけが救助されなかった。
正体のばれたコクとハクは、人魚の両親と共に海底に帰って行った。
翌日、爆破は〔緑の地球党〕のメンバーによるC国の核実験への抗議テロとマスコミに発表されたが、緑の地球党は関与を否定した。
息子を失ったC国国王は、日米首脳の打診を無視して、直ちに潜水艦の中の人質を殺すよ
うリー大佐に命じようと部下を宮殿に呼びつけた。
そのとき奇跡が起こった。
ハルクン皇太子が無傷で帰ってきたのだ。
「父上、核実験は永久に止めてください。海底には素晴らしい国が在るのです」
調査により、軍を煽動し密かにクーデターを起そうとしていたリー大佐の目論みが発覚した。
リー大佐は失脚し、国王は悔い改め、C国は世界に向けて核実験永久凍結の平和宣言をした。
メアリーと美知子、そしてひかるは無事帰された。
「思えばワシが自分の虚栄のためにハクを利用したのが原因なのだ。ワシは息子に次いで孫までなくしてしまった」
ジャックは嘆いた。
「僕もです。金メダルが何だというのだ」
後悔する洋一を美知子とひかるが抱きしめた。
オリンピックは盛況のうちに幕を閉じ、海底人の話題もいつしか消えていった。