real love 今。



せっかく昼から会えたから、どっか店に入ろうかと思ったけど。


何故かあゆが、
『やっぱ公園がいい』
なんて言うから、いつもの公園に向かった。




―――――



「さっむー!」


って、自分で言い出したくせにベンチで寒そうに丸まってるあゆ。


俺も、後ろから抱きしめるようにしてベンチに座った。



気温が無駄に低いくせに雪は降らなくて、
積もったら鬱陶しいとは想いながらも、
空っぽな景色を見て、少し寂しくも思った。



「………」


何気なく沈黙が続いて、
無意識に俺は煙草に火をつけようとしてた。



「…陵」



それを止めるように被さったあゆの声に、
急いでそれをポケットに突っ込んだ。



「ん?」


コートから少しだけ覗くちっさい手で、俺に何かを差し出した。



……絆創膏?


それも、何枚も。



「腕と顔、痛そうだよ」


少し考えてから、昨日の傷を思い出した。



やべー、忘れてた…。

顔はわかるとして、何で隠れてる腕がわかったんだ?



あゆはくるっと振り向いて、黙って俺の顔に絆創膏を貼っていく。






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