real love 今。



海沿いの小さな、臨時の駐輪場。


ずらーっとならぶ同じようなチャリに嫌気が差す。


ぎられてませんよーに!


そんなことを願いながら日菜と一緒に鍵をつけたチャリを探した。



「みーっけ〜♪」


反対側の通路でそう叫んだのは翔大。

なにげなく振り返ると


「今道路まで出すから待ってろ」

って、何がなんだかわからないまま
『チャリ鍵!』って言われるがまま、翔大に鍵を投げた。




「ほいっと!」



がしゃん、と歩道の段差を2台のチャリが超える。



暗闇でもわかりやすい、日菜のピンクのチャリと
あたしのお気に入りのオレンジのチャリ。



「早く帰んないと襲われるぞー?



…あ、山中は大丈夫か♪」


「はーあ!?」



冗談混じりに言った翔大は足早に自分のチャリを探しに行った。


「………ありがと」




ばかだな。


自分のより先に探すなんて。

こんなにいっぱいある中からさ。



これ以上好きにさせて…一体何がしたいのよ?






.
< 32 / 38 >

この作品をシェア

pagetop