real love 今。



「…ってか、俺和と二ケツで来たんだった。」



「あ、そうな…

て、え!?」


あたし、和帰しちゃったよ??



「しゃーねぇ、バスで帰っかなぁ」

鍵を器用に指でくるくる回しながら、のん気に呟く。

天然てゆか、なんてゆーか。


これで1ミリも焦った様子がないのが逆に怖いわ!


「…あたしのチャリ、乗る?」


断られたら、それでいーや。


なんだか今日のあたしは、怖いもの知らずな気がする。




「あ、嫌ならぜんぜ…」


「言っとくけど、俺の後ろ乗ったら惚れっから〜♪」



へ?



あたしの右手からするっと鍵を奪い取って、停めっぱなしのオレンジのチャリへと走った。


「ちょっとしょーたー!」



…とっくに惚れてるんですけどね?


なんて喉まできた言葉をぐっと飲み込んだ。



真っ暗な夜の海に、工場なんかの光が反射して
怖いくらい輝いていた。



その灯りだけを頼りに、翔大の後を追った。





.
< 35 / 38 >

この作品をシェア

pagetop