天国からのメール
暗闇で突然、話し掛けてくる竜太。


「お前、もしさ……もしだよ?今回の大会……落ちたら、どうすんだよ?」


「え?何、縁起でもねぇこと言い出してんだよ?」


「だから、もしだってば、もしも!」


「……そんなこと、考えたことねぇよ」


少し悩んでから、聡は答えた。


「だよなー。俺も」


竜太も言う。


「なんだよ、急に?」


「いや、なんとなくな」


「心配すんなよ。俺たちは、必ず優勝する」


「そうだよな!」


「じゃあ、もう寝ろよ」


「おう、おやすみ」


そう言うと、しばらくの間聡はまぶたを閉じないでじっとしている。


三十分程経過した頃、聡はゆっくりと竜太のベッドの横に行く。


「竜太」


静かに呼び掛ける。竜太が熟睡していることを確認すると、テレビの前のソファーに腰かけ、携帯電話を開いた。


『竜太、寝たみたいだ。綾、メールしよ?』


『ダメだよ、聡。聡も早く寝ないと。』


『だって、綾とメールできる時間はあと少ししかないんだよ?』


『でも、今は私より体力を少しでも温存することが大事だよ。もう明日、本番なんだよ。』


『わかってるけど……』


『だったら、言うことを聞いて。言ったじゃない、私のことは気にしないでって。』


『でも、メールしたいんだよ。気になるよ。綾のこと、好きなんだ。声が聞きたくて……会いたくてたまんないんだ。』
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