天国からのメール
四人は前屈みになって、小走りで座席を目指す。


それぞれが席に着いたとき、MCが出てきて手を上げる。


「さぁ、皆さんおまたせ致しました!これから、全国大会を開催致します!各地の大会を制した十代バンドばかりが、今日、その頂点を目指します!」


それを聞いていると、急に緊張してきた四人。


「優勝したバンドは、二階席で見られています、各レコード会社の役職の方からこのバンドが欲しい!と思われたレーベルからメジャーデビューが決まります!」


さらにドキッとする聡。


「各バンド、持ち時間は最大十分の一曲演奏。大会終了予定時間は午後五時、六時から優勝者の発表があります!」


おぉー!という観客の声。


その声の多さに、四人は唖然とした。


暗闇で見えにくい為あまり実感は湧かないが、観客はかなりの人数だ。


「すげぇ、すげぇよ、聡!関東大会の倍はいるぞ、客!」


竜太が耳元に話し掛けてくる。


「あぁ、俺もビックリしてるよ」


「あと、入場の際に、こんなものをお渡ししていると思います」


と、MCが一枚の黄色い紙を右手に上げる。


「これには、お客様方が、いいなぁと思ったバンドを一組だけ書いて、全ての演奏が終わりましたらあちらのオーディエンスボックスに入れてください」


と、入り口付近に四つ設置されている、黄色いポストを指差して言う。


「何、それ?僕たち、もらってないよ?」
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