天国からのメール
と、またしてもBGMと共にステージが反転し、メンバーが登場すると演奏を始める。


「どうやら、演奏中に裏でセッティングしてるみたいだな」


和樹が言う。


「そうみたいだね」


慎一が答える。


「このままだと、予定より早く終わるんじゃねぇの?」


竜太が言う。


「それでもいいじゃねぇか。なんでもいいからとにかく、優勝すりゃいいんだ」


聡が答える。


「こんな大勢の前で……緊張するだろうなぁ」


慎一が言う。


「カボチャだと思えばいいんだよ。とにかく、優勝だ。優勝さえすりゃいいんだ」


聡が言う。


「聡……ちょっと、いいか?」


急に竜太の表情が変わる。


「え?どうしたんだよ?」


聡が聞き返す。


「いいから、来いよ」


と、竜太は演奏中にも関わらず客席の外へ前屈みになって向かう。


わけがわからず、竜太に続く聡。


二人は、客席を出ると扉を閉めた。


「なんだよ?」


「お前さ」


「うん?」


「優勝、優勝って……何で、そんなに優勝にこだわってんだよ?」


竜太の言葉に、驚く聡。
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