天国からのメール
その竜太の声で、再び客席へと向かう和樹、慎一、竜太の三人。


一人、動かない聡。


「うん?どうしたんだよ、聡?」


竜太が聞く。


「俺は、後から行くよ。先に行っててくれ」


「そうか?わかった」


と、三人は控え室を出た。


綾とメールできる時間が少ないので、聡は控え室に残ってメールすることにした。


『俺たちの演奏、どんな感じだった?』


『えっと、慎一君が飛び跳ね過ぎて服からお腹が出そうになってたよ』


『あいつー』


『あはは。なんて言うか……とにかくみんな、すごく楽しそうだったよ!』


『なんか曲が始まった途端、急に楽しくなっちゃって……』


『私、聡の音楽やってるときの楽しそうな顔……大好きだよ。』


『綾……』


そうメールしているうちに、メンバーが控え室に帰ってきた。


「聡、どうしたんだよ?もう全部のバンド終わったぞ?」


竜太が聞く。


「あ、ちょっと疲れたから、休んでた」


聡が答える。


「まぁ、いいや。俺たち、先に行って席に座ってるよ。結果発表までには、来いよ!」


「もちろん」


竜太がそう言うと、再び客席に戻る三人。


時計を見ると、すでに五時十分だった。


その瞬間、聡はとてつもなく切ない気持ちになった。


『綾……もうすぐお別れだね。』
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