天国からのメール
『そうだね。』


『綾……綾がメールしてくれなかったら、俺はここまで頑張れなかったと思う。本当にありがとう。』


『私も、聡とメールできて本当に幸せだった。』


再び、時計の針を見る聡。五時二十分。


『綾……一通、綾のメールを保存したい。最後に一通だけ、長文のメールを作って。』


『わかった。じゃあ、聡もちょうだい。』


そう送ると、聡はメールを打ち始めた。


涙で液晶が歪む。手が震えてくる。


それでも聡は、笑顔でメールを完成させた。


『綾へ
 えっと、何から言ったらいいのか……とりあえず、ごめん。最初メールくれたとき、疑っちゃって……そして、ありがとう。いっぱい、綾にアドバイスもらって……助けてくれて、本当にありがとう。見て、綾。俺は、笑ってるよ。今も、これからもずっと綾が近くにいてくれてると思うと、幸せでずっと笑顔でいられます。そして何より……もう会話できないと思ってた綾と、もう一度話せたことが幸せです。あ、そうそう、こないだ、綾と一緒にやった占いの婆さんに会ったんだよ。あの婆さん、良いことがあるって言ってた。本当に良いことがあったよ。また、綾とメールができた。これからもずっと、俺のそばにいて、見守ってください。天国でも、元気でね。』


送信すると、涙がこぼれた。


唇の震えが止まらなかった。
< 120 / 125 >

この作品をシェア

pagetop