天国からのメール
メール
チュン、チュン……


昨日と同じように、スズメの鳴き声が聞こえてくる。


ふわふわと揺れるカーテンから、日差しが漏れて聡の顔を優しく包む。


「ふぁーあ……」


聡は大きなあくびをすると、枕元にあった目覚まし時計を見た。


針は、午後の三時を指している。昨日なかなか寝付けなかったせいか、たっぷり寝た。


「え、もう三時かよ……」


聡は頭をボリボリかくと、カレンダーの昨日の日付にペケをつけた。


関東大会まで……あと、二日。


「さてっ」


聡はジャージに着替えると、スティックを片手に家を出た。


この日は、午後四時〜八時までバンド練習なのだ。


聡は自転車にまたがると、練習スタジオに向かった。ここから練習スタジオまで４０分程かかる。


起きたての聡はボーッとしながら自転車を漕いでいたが、５分程走って冷たい風に当たっているうちに眠気が覚めてきた。


「うわっ、今日も寒いな……」


それと同時に、昨日の老婆の言葉を思い出した。


「あ……、そういえば今日、何か良いこと起こるって言ってたな……本当に起きたらいいけどなぁ……」


考えながら自転車を漕いでいると、横断歩道を渡っているＯＬの女性に気づかなかった。


「うわ！」


聡はぶつかると悟り、慌ててブレーキを握る。
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