天国からのメール
入るなりすぐ両手を合わして謝る聡。


「遅れすぎだよ、バカ!」


「まぁまぁ、そう怒んなよ竜太。じゃあ、始めようぜ」


和樹のその言葉で、ドラムのセッティングをする聡。


「うん?何か良いことでもあったの、聡?」


嬉しそうにセッティングする聡に気づいた慎一が言う。


「え?いや、何でもないよ。さあ、始めよう。ワン、ツー、スリー、フォー!」


聡のスティックカウントでいつも通り練習が始まった。練習中も、聡の頭は綾でいっぱいだった。


六時になる頃、少し休憩を取るため全員でロビーに行った。


聡はロビーに着くとすぐに携帯電話を取り出し、綾にメールを送った。


『今、休憩。今日も良い調子だよ。これなら、今年は全国大会いけそうだよ。』


聡はすぐにメールを見れるよう、携帯電話を左手に開いて持った。


『お疲れ様。そっか、いけるといいね!私、応援してるから。』


『ありがとう。綾に見られてるってだけで力が湧いてくるよ。』


『よかった、力になれて。』


「おい……おい聡!」


綾とのメールに必死になっていて、竜太の大声にやっと気づいた。


「え?何?」


「何じゃねぇよ。今日のリズムの話してんだよ」


メンバーの会話どころではない聡は、ミーティング内容を全く聞いていなかった。
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