天国からのメール
「ごめん……ちょっと、大事なメールしてて……リズムが何?」


携帯電話を閉じると、いつの間にかメンバーの視線は聡に集中していた。


「どうしたんだよ、聡……今日のお前、全然リズムがよくねぇぞ」


和樹が言う。


「え……そんなことねぇよ、ちゃんと叩けてるよ」


反論する聡。


「叩けてねぇから言ってんだよ」


和樹の意見に乗る竜太。


「そんなはずねぇよ、いつも以上に調子は良いんだぞ?」


「おい慎一、お前はどうだよ、今日の聡?」


和樹が慎一に言う。


「僕も……ちょっと今日の聡は、調子悪いかなって思う……」


慎一が少し俯いて言う。


「何に気が散ってんのか知らねぇけど……どうでもいいこと考えてねぇで、練習に集中しろよ!」


「……どうでもいいこと?」


和樹の言葉が聡の逆鱗に触れる。


「じゃあお前はどうなんだよ、毎日毎日彼女と遊びやがって……そんな暇があったら練習しろよ!お前のギターの下手さをカバーすんのに、どれだけ苦労してると思ってんだよ!」


和樹の右肩を思い切り突き飛ばして言う。


「痛ーな!何だよ急に、何逆ギレしてんだよ!」


聡の胸ぐらをつかみ上げる和樹。


「本当のことだろうが!」


聡も、和樹の胸ぐらをつかむ。
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