天国からのメール
「まだわかんねぇのか!さっきもだったんだよ、今のと同じリズムが!」


和樹が手に持っていたピックを聡にぶつける。


「なんだと、コラ!」


スティックを和樹に思い切り投げるが当たらず、床にワンバウンドして壁に立て掛けていたギターケースにぶつかる。


「何すんだよ!」


ギターを乱暴に置きドラム越しに聡の胸ぐらを両手でつかむ。


「こっちのセリフだ!」


聡も和樹の胸ぐらをつかむ。


「もうやめてよ、二人共!」


慎一が制しようとする。


「うるせぇな、お前は黙ってろよ!」


和樹が怒鳴る。


「わかった、今日はもう終わり!」


竜太が突然、大声で言う。


三人の視線が、竜太に集まる。


「なんだよそれ……このままこいつのリズムでいったら、間違いなく明日は落ちるぞ!」


和樹が竜太に言う。


「だったらどうすんだよ!このまま練習続けて意味あんのか?意味ねぇ練習だったら早く帰って明日に備えた方がいいだろうが!」


「ちっ……」


竜太の言葉で和樹は聡から手を離し、ギターを片付け始めた。


「いいか聡、明日もその調子なら承知しねぇからな、この分からず屋が!」


ギターを背負うと和樹が言った。


「黙れ、この下手くそ野郎!」


聡が言い返す。


「なんだと、コラ!」
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