天国からのメール
「あぁ……天国の綾からだ……」


竜太は少し考えてから、聡の前に座った。


「ありえねぇよ。そんな非現実的なこと、どうして信じた?」


「……昨日や今日の俺の行動が見えてるらしい。いたずらだとしたらお前が犯人じゃない限り……これは、綾としか考えられねぇよ」


「俺じゃねぇよ」


「わかってるよ。だから、綾だよ。お前を信じてるから、そう言ってんだ」


「……」


また無言が続く。


「……お前の部屋に監視カメラがあるって可能性は?」


「そんなことしてまで、いたずらなんかするわけねぇだろ。だいたい、外には監視カメラはねぇよ」


「……」


「どういう理由でメールできるかはわからねぇ。天国のルールも知らねぇ。ただ、全国大会の日までメールできるらしい。だから……」


「わかった。お前がそこまで言うなら、信じるよ。ただ、練習中は集中しろ。意識がずれてりゃいつものノリが出ないことぐらい、わかんだろ」


「……」


「……じゃあ、また明日な。朝十時、いつもの駅で集合だ。遅れんなよ」


そう言って、竜太もスタジオを出ようとする。


「……竜太」


「何だよ?」


「悪い……」


「いいよ。ただ、明日は本番だぞ。集中しろよ」
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