天国からのメール
「あぁ……」


そう言うと竜太はスタジオを出た。


聡はドラムを片付けながら、携帯電話を取り出しメールを送った。


『綾……メンバーと喧嘩しちゃったよ……』


ドラムセットを片付けると、スタジオを出て自転車にまたがった。すると、メールが返ってきていた。


『知ってるよ。ごめんね、応援するつもりでメールしたのに、逆効果だね……』


『綾のせいじゃないよ。俺が悪かったんだ。大丈夫、明日は頑張るよ。』


『うん、応援してるよ。でもよかったね、竜太君、わかってくれたみたいね。』


『いや、多分あいつは、まだ信じてないよ。ただ、これ以上言っても今の状態が悪くなるだけ……そう思って、信じるって言ったんだと思うよ。あいつは何も考えてないようで、しっかりメンバーのこと考えられる奴なんだ。……でも、別にいいんだ、信じてもらえなくたって。だいたい、こんなこと急に信じろって言っても無理だろうし。俺は綾とメールができるだけで幸せだよ。』


『そっか。それならよかった。』


そうメールを繰り返しているうちに、家に着いた。


「ただいまー」


一階のキッチンで夕飯の支度をしている聡子に言った。


「あれ?聡、今日練習九時までって言ってなかった?」


「うん……ちょっとね、早く終わった」


そう言って自分の部屋へ上がった。


スティックを置いて布団に転がると、携帯電話を開いた。


綾からメールがきている。


『おかえり。』


『ただいま。』


その日も聡はメールに明け暮れ、時間を忘れて綾との会話を楽しんだ。
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