天国からのメール
聡は慎一から何を言われたのか、唐突過ぎて理解できなかった。


まさか慎一が、そんなこと思ってたなんて……


「それ……本気なのか?いつからそう思ってた?」


慎一を見つめる。


「バンドを始めてから今まで、プロになろうと思ったことはなかった……」


「じゃあ……この大会はどういう気持ちで出てたんだよ?」


「半分遊びみたいなもので……優勝なんか、できないだろうって……」


「なんだよそれ……」


「え?」


「なんだよそれ!」


感情的になり、慎一の胸ぐらをつかみ上げる聡。


「俺たちがどれだけ本気かわかってんだろ!」


「ごめん……」


「ごめんじゃねぇよ、お前!」


聡は思い切り慎一の体を突き飛ばした。


クローゼットにドンと当たった慎一は、その場に座りこんだ。


「竜太は……竜太は何て言ったんだよ?」


荒い息で聞く聡。


「自分で決めろって言った……だから、僕は全国大会に行かないことにした……」


俯いて淡々と答える慎一。


「じゃあ、俺たちはどうなるんだよ。今までプロ目指して必死に頑張ってきた俺たちはどうなるんだよ!」


座っている慎一の胸ぐらを再びつかみ上げ、怒鳴り声を上げる。


「もう決めたんだよ。ごめん、聡……」
< 55 / 125 >

この作品をシェア

pagetop