天国からのメール
「だから、ごめんじゃねぇって言ってんだろ!」


聡は涙目になりながら右手を大きく振りかぶると、慎一の左頬目掛けて振り下ろす。


しかし、間一髪のところでピタリと止める。


「もういいよ……お前なんか、殴る価値もねぇ。出てけ……」


「聡……」


「出てけって言ってんだろ!もうお前なんか、メンバーじゃねぇよ!」


「ごめん……」


そそくさと出て行く慎一。


聡は竜太に電話を掛けようとするが、携帯電話を開くと綾からメールがきていることに気づいた。


『今の慎一君……なんかおかしい。』


その内容がよくわからなかった聡は、竜太への電話の前に綾にメールを送った。


『どういうこと?』


『そんな大事なこと、なんでもっと早く言わないの?』


『あいつは、いい加減な奴だ。』


『確かに、いい加減だと思う。でも、慎一君メンバーの誰よりも優しくて素直じゃない。誰よりも人想いで……どんなことにも情があって……そんな人が、大事なバンドメンバーをこんな形で裏切るかな?』


『要するに、俺らなんかどうでもよかったんだよ。』


『そんなことないと思う。じゃあ今まで一緒に笑って泣いたことも、全部嘘なの?』


『そういうことになるな。今まで騙しやがって……許せねぇ』


『……じゃあ昨日の大会落ちたときの涙も……あれも偽物だったの?』


『え?』
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