天国からのメール
「なんでだよ、なんで和樹には言えねぇんだよ?同じメンバーだろ、和樹もこのこと、知る権利あるだろ!」


「そんなこと知らねぇよ、俺だって!自分から言うから、今は黙っててくれって言われたんだよ!」


「……」


「今はよくわからねぇ……でも、慎一なりに、何か考えがあるんだろ……」


急に冷静になる竜太。しっかりと聡の目を見てそう言った。


「……わかったよ。和樹には、黙ってるよ……」


あまり腑に落ちないが、しぶしぶ了解する聡。


「おーい、何やってんだよ?」


そのとき、和樹がスタジオの扉を開けてロビーを覗き込み、竜太と聡に向かってそう言った。


「悪ぃ悪ぃ、なんでもねぇよ。さあ、練習始めるか!」


再びテンションを戻した竜太は、スタジオの中に入った。


「聡、何やってんだよ、早く来いよ」


入ってこない聡に手招きしながら声を掛ける竜太。


スタジオに入った聡は、ドラムのセッティングを再び再開した。


「よし……本番まで後四日……頑張っていくぞ!」


全員のセッティングが終わると、その竜太の声をきっかけにスティックカウントを始める聡。


いつも通りの練習。しかし慎一がいないスタジオは、いつもより寂しい空気に包まれていた。


練習を終えると、ロビーに集合してミーティングを始めた。
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