天国からのメール
「でも、このままだとあいつ、大会には来ねぇぞ。本当に慎一に何か理由があるなら、俺たちでなんとかするしかねぇんじゃねぇのか?」


急にブレーキを掛けて止まる竜太。慌ててブレーキする聡。


「おい、急に止まんなよ」


「なんとかって、どうする気だよ?」


鋭く聡を見る竜太。


「え、それは……」


「『本当のこと言え!』って問い詰めて、あいつ答えるのか?」

「……」


「理由もわかんねぇ。本心かどうかもわかんねぇ。この状態をどうしろっていうんだよ……」


「……じゃあお前の言う通り、信じてりゃ戻って来んのかよ?」


「俺は、そう信じてる……」


「信じる、信じるってお前」


「それ以外に何ができんだよ!」


竜太の突然の怒鳴り声。目が充血しているのがわかる。


そう言い放つと、再び自転車を漕ぎ出す竜太。


取り残された聡は、携帯電話を開いた。


新着メール一件。綾からだ。


『聡、竜太君の気持ちもわかってあげて。』


『ああ。今のあいつの顔見て、わかったよ。そりゃ竜太も、本当は心配で堪らないよな。俺たちは、どうすることもできないのか……』


そう返すと、右手に自転車のハンドルを持ちトボトボと歩きだした。


1分程経った頃、左手に持つ携帯電話が鳴る。


『とりあえず、竜太君の言う通り、信じて待ってみるしかなさそうだね……』
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