天国からのメール
和樹が言う。


「え?あ……、慎一、大丈夫かなーって思ってよ」


そう答えた聡は、竜太をチラッと見る。


こちらに向かって真顔でウインクを飛ばす竜太。


いつも通りしていろという意味だろうが、竜太のようにはできない聡。


聡はセッティング中に携帯電話を開き、綾にメールを送った。


『慎一、来なかったよ……』


『そうだね……このままだと、ちょっとやばいね。……そういえば、あれから誰も慎一君とは連絡取ってないの?』


『あ、そういえば……』


気になった聡は、「ちょっとトイレ」と言ってロビーに向かおうとする。


その際、和樹に気づかれないように竜太にアゴで合図する。


聡がロビーに着くと、竜太がスタジオから出てきた。


「なんだよ?」


竜太がこっちに向かいながら言う。


「お前、あれから慎一とは連絡取ってないのか?」


「……あぁ」


「なんで連絡、取らねぇんだよ?」


「そういうお前は、連絡取ったのかよ?」


「え、いや……」


口をモゴモゴさせる聡。


「そらみろ。俺だって、何回も慎一に連絡しようと思ったよ。でも、一体何話すんだよ……」


何も言えない聡。


「連絡なんて、取りたくても取れねぇんだよ……」
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