天国からのメール
今日は四人が待ちに待った『ティーンズミュージックオーディション』の日。


メンバーが全員十代のバンドなら誰でも参加できる年に一回のオーディションで、優勝までは三段階に分かれている。


最初は地区大会、そして関東大会、最後に全国大会。


評価の対象は演奏力、表現力、楽曲の三つだ。


優勝すれば、夢のメジャーデビューができる。


この大会に『WORLD LINE』は過去二回出場したが、惜しくも関東大会で二回とも落ちてしまっていた。


今年も去年同様、リベンジで参加した。


だが、去年と違うのは聡たちの年齢だ。


今全員が十九歳で、今年が最後の勝負というわけだ。


これが駄目なら、バンドを解散して皆マジメに進路を考えようかと思っている。負けるわけにはいかない。


特に聡は、『綾』のためにも……


「今回が最後か……頑張ろうな!」


竜太の声に、三人は頷く。


駅を降りると、四人は横に並んで商店街を歩き出した。


周りにはギターを背負ったロン毛の男や、ベースを持ったミニスカの女などがちらほらいる。


皆、この大会の出場者だろう。


「おぉ、今年もいっぱいいるなー」


和樹が言う。


「あ、あの金髪、去年も出てた奴じゃねぇの?からかっちゃう?」


竜太がニヤニヤと言う。


「やめとけって、そんなことして何になるんだよ」


忍び足で金髪の男に絡みに行こうとする竜太を、聡が服を引っ張って止める。


「チェッ、つまんねぇの」
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