天国からのメール
「そうか……わかった」


電話を切る聡。綾にメールを送る。


『冷静になってあいつと会話して……俺は確信したよ。慎一は……本心じゃない……』


『どうしてわかるの?』


『わかるよ、メンバーとはずっと一緒にいるんだ。家族みたいなもんだ。嘘言ってるときの感じくらい、わかる。』


『本当?』


『あぁ、絶対ではないけどな。でも俺の中で、不確かなものが確信に変わった気がする。』


聡はすぐに慎一の家に向かって全力疾走した。


慎一の家に着く頃、時刻は十時を回っていた。


自転車から降りた聡は、チャイムをゆっくりと鳴らした。


「はい?」


インターホン越しに女性の声が聞こえる。慎一の母だ。


「夜分にすみません。聡です。慎一君に会いたいのですが……」


「あぁ、聡君?ちょっと待ってね、今呼ぶから」


いつもは元気な慎一の母だが、あまりに低い声だった。


当然と言えば当然だが、すでにバンドのことは知っているようだ。


しばらくすると、玄関の扉が開いた。


そこに立っていたのは、慎一ではなく慎一の父だった。


「あ、こんばんは。すみません、夜遅く」


慌てて挨拶する聡。


「慎一は、もう寝ていてね。悪いけど、今日は帰ってもらえるかな?」


「あ、そうですか……わかりました……」
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