天国からのメール
ふと部屋を見渡すと、クローゼットに直径十センチ程度の穴が開いている。


「どうしたんだ、それ?」


聡が不思議そうに聞く。


「あぁ……まぁ……ちょっとね……」


またもや動揺する。机の上には、飲みかけのコーラがこぼれている。


「なんか、部屋荒れてるな」


「それより、何?」


「いや、何って……特に何も用はねぇんだけど……」


「じゃあ、もう帰ってよ。寝たいんだよ」


「……」


「帰って」


「なぁ、慎一」


「何?」


「お前がなんでバンドやめるって言ってんのか知らねぇけど……それ、全国大会終わってからじゃダメなのか?」


「は?だから、前にも言ったじゃん。僕はプロになる気は」


「嘘つくなよ。俺ら、メンバーじゃんか。そんなに言えねぇことなのか?」


「……」


「もしかして、借金とか?」


「帰ってよ……」


「お前なぁ」


「帰ってよ!」


突然怒鳴り声を上げ、近くにあるゲームのカセットを聡に投げつける慎一。
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