夢中遊泳、その先に君

喪服の役割をになった、いつも着ている学生服。

俺はたくさんの黒の中に埋もれて、立っていた。

雨足は強かった。傘をさしていても、肩がじっとりと濡れてしまうほど。

それは独特の匂いとなって、部屋で干されている今も、室内を雨の雰囲気に染める。

再び窓を閉める。ベッドに横たわったまま、黒い制服を見ていて、思い出す。


…そう言えば。

アカリと出会った時も、俺はこの制服を着ていた。

日常に加え、おめでたいこと、めんどくさいこと、緊張すること、辛く悲しいこと。

様々な場面で多様されすぎだろうと、俺は静かに目を閉じた。


窓は閉めたのに、耳の奥で煩いくらい、雨の音が止まない。

目を閉じても、俺は眠ることができないでいた。

…アカリが死んだその日から、ろくな睡眠をとれていない。



──即死だったんだって。



雨粒に触れた、自分の手のひらを見つめる。

アカリが死んだ、なんて。未だに俺は、そのことをどこか遠い出来事のように感じていた。