夢中遊泳、その先に君
今日は、二人で迎える二回目のクリスマスだった。
わたしがケーキを作って、ヒロイチがチキンを買ってきた。彩り豊かな料理が並んだテーブルに、満足して。
近場のイルミネーションを見た帰りに、遠回りしてクリスマスにちなんだDVDを借りた。
映画館のように部屋を暗くして、寄り添って鑑賞したDVD。
ほっこりと心が温もるような、ラブストーリー。
エンドロールが流れ出したとき、ヒロイチがわたしの方を向いたのがわかった。
わたしは少しうつむき気味に、遠慮がちにヒロイチの方を向いた。でもそんなの関係なかった。
…すくい上げるように、キスをされた。
とても優しくて、温度までも優しかったのに、どうしてか肩がこわばった。
ヒロイチのキスが深くなって、わたしの右肩と左肩に、ヒロイチの手が掛かって、そこにヒロイチの重みが少しずつのっかって。
…わたしはヒロイチの手をはがして、唇をこばんだ。
付き合って一年と少しだ。何度も繋いだ手、重ねたキス。
だからその次に来るものはわかっていた。でもどうしても、それは譲れないものだった。
ヒロイチがとても傷ついた顔をしたのがわかった。
ヒロイチが、ずうっとわたしを大切にしてきてくれたこともわかっていた。
自分の感情よりも、わたしの気持ちを優先して、もうずうっと。