弱気な僕と死神娘

―――――目を開けると、世界はゆらゆらと不安定なかたちをしていた。



ブクッ…



(ここは…水の中…か?)


感覚としては、水中のようだった。
呼吸も出来なかったが、不思議と苦しくはない。


(まさか…死んでもう生まれ変わりとか?)


第二の母親のここは胎内なのではないか、という結論がなぜかすぐに浮かんだ。


(っていうか前世の記憶持ちで生まれ変わりですか…)


それとも胎内にいる今だけで、生まれ落ちた瞬間に全てを忘れてしまうのかもしれない。そんなことを考えていた。

するとなんだか世界のしくみがわかったような気がして、悟りを開いた気分になった。

でもそれも誰に伝えることもなく、消えてしまう記憶なのだと思うとなんだか歯がゆい感じがした。
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