シャッター
彼と黒いカメラ
光希は額に手の甲をあてて、空を仰いだ
最近ジリジリと暑さは増して、本格的に夏になってきた
地面から焼けるような熱が足元から這い上がってくる
もう夕方だというのに、日が強く照っている
こめかみに滴り落ちる汗を光希は拭った
すると後ろからカメラのシャッターをきる音が聞こえた
光希は反射的に後ろを振り返る
光希の少し離れた後ろには大きな黒いカメラを持った男がいた
明らかにそのカメラは光希に向けられていた
光希は暑さがぶっ飛び、急に寒気に襲われた
「うわ…っ」
光希は思わずそう漏らし、後退りした
それから思いっきり光希は前に向き直り、足早にその場を去ろうとする
もしかしたら自分じゃなく風景を撮っていたのかもしれない、と自分に言い聞かせて
しかし後ろから光希と同じような足早に歩く音が聞こえてくる
光希はゾッとした
光希は帰り道の角を曲がった瞬間走りだした
すると後ろからさっきに増してバタバタとした足音が迫ってきた
光希はさすがに後ろを振り返り、確認した
するとやはりさっきのカメラの男が、すごい勢いで追いかけてくる