シャッター
先生が自己紹介するようにと言って、転校生は口を開けた


「名前は若松朝飛、大阪出身です。一発芸見て気に入ってくれたら、なかよくしてください」


そう言って朝飛はクシャとした笑顔を見せた


一発芸というのに周りは驚きを隠せない


いつも冷静な担任の先生も少し驚いたようだった


朝飛が一発芸を見せると思いのほか、生徒たちは爆笑した


朝飛は嬉しそうにちょっと照れたように笑ってた


光希だけが少しも笑みを見せずに朝飛を見つめていた


先生に席につくように促され、朝飛は従って後ろの席に向かう


周りの生徒はときどき目配せして朝飛を見上げた


生徒たちの中にはまだ光希の一発芸に笑っているものもいる


光希はたった数分で一気にクラスメイトの心を掴んだ


ただの高校生の気をひくには朝飛は十分すぎることをしたのだ


光希は向かってくる朝飛と目が合わないように下を向いた


ちょうど朝飛の席は光希の列の一番後ろの席だったからだ


朝飛が光希の横を通りすぎるとき、前の女子がちょうど光希に話しかけた


「光希?」


光希はなるべく朝飛に顔を向けないよう答えた

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