シャッター
関わりたくないだけで、特に仲を悪くしたいわけじゃない光希は話しを合わせた


「う、うん、ごめんね」


しかし話しを膨らませようとはせずに、下駄箱から靴を取りだし履く


すると朝飛も合わせて靴を床に放って、かかとを踏んだまま一歩光希に近づいた


「まぁ、ええねん。関東人は関西人より大人しいもんやんな」


ニコニコ笑う朝飛に光希は苦笑いして頷いた


それだけ、光希は下駄箱から逃げ出すように、朝飛に背を向けて校舎を出る


すると朝飛は光希の後に続き、光希の隣に並んだ



光希はつい「うわあ…」と声を漏らしてしまいそうになったが、寸前で止めた


朝飛はそんな光希に気づいてないのか、目をキラキラさせて光希を覗きこんだ


「ほんでなぁ、昨日のことやねんけど、モデル頼みたいねん」


光希は頼まれて言葉に詰まった


まさかこんなお願いを二度もされようとは


光希は自然といつもより歩くペースが早くなっていた


それを追うように朝飛が歩く


朝飛は一向に光希から離れようとはしなかった


答えずにいる光希に朝飛は言った


「あかん?」

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