未タイトル
な
なに言ってんだろこの人
こないだ初めて会っただけなのに。
親切?
それとも
下心でもあるのか…
「あ、いや 大丈夫。ほんとに」
「ならいいけど……今帰りか?」
「あ…まあ…」
「なんかこの後用事ある?」
「え…?」
よ、用事?
「え、いや…ないけど…」
「じゃあちょっと付き合って」
……えーっ
なんでー!?
「ほい」
「あ…ありがとう」
缶コーヒーを受け取り
鞄から財布を出そうとすると
「いいって まあ飲め」
と遮られた。
私はもう一度お礼を言って 蓋を開けた。
連れて来られたのは
町外れの 川原
川原と言っても川自体が大きく
きちんと整備されていて
地元の人はジョギングコースや犬の散歩などに使っている為
夜になっても人通りは少なくない。
斜面になった堤防の芝生に二人 腰を下ろしていると
「こら、ジョンッ」
一匹の大型犬が 嬉しそうにこちらに向かって走って来た。
「やべー 可愛いな〜よしよし」
寄って来た犬を 大地くんが嬉しそうに両手でわしゃわしゃ撫でまくっている。
……こんな顔して笑うんだ…
初めて見た彼の笑顔は
夏に咲く
向日葵みたいだった。
見ているだけで元気を貰えそうな
優しくて明るい笑顔。