未タイトル


目の前に座っていたさっきの男の子が 私に向かって訊いた。


ワックスで無造作につくられた短めの髪が 日に透けて茶色く輝いている


視線を向けると
彼は腕組みしながら私の返事を待っていた。


こえーよ…

どこのボスだよ…





「……沙斗梨…」



あまりのオーラに
私はそっぽを向いたまま それだけ言うと
彼は もう何も言わなかった。





……良かった



出来れば関わりたくない


私の事はほっておいてほしい。


浮いてる私なんか気にしないで
エリ達とお喋りしててほしい



そのほうがずっと楽だ。



「あ、大地今日バイトだよな?」



……だいち…





ぴったりな名前だな
と思った。



ちらりと彼を盗み見する



第ニボタンまではだけたシャツ
すっと骨ばった綺麗な指先

少しごつめのネックレス…


何故だか分からないけど


この人には


すごい存在感がある。



豪快ってゆうか なんてゆうか…


まさに大地って感じ。





私とは真逆なタイプ…





だからなのかな


私がこの人に惹かれたのは。



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