白銀の女神 紅の王
「相変わらず甘ちゃんだな」
皮肉めいた言い方で、デュークが話す。
「馬鹿を言え。国家に仇なした罪を犯した奴らだぞ?俺に逆らったらどうなるかを、その身を持って償わせるだけだ」
本当に馬鹿な奴らだ。
身分の降格で済ませてやったものを…
降格処分だけで見逃した命だが狩らねばならぬらしい。
殺す価値もない国の屑どもだが二度目はない。
どこまでも冷徹な心に支配されながらも、愉しそうな笑みを口元に浮かべた。
「そうだな。こいつらもただ死ぬのではそいつ等も可哀想だ。どうせなら価値ある死を与えてやろう」
可哀想だなどとは微塵も思っていないだろうデュークも愉しそうだ。
まるで獲物を捕らえる時のようにギラギラとした漆黒の瞳。
笑いながら会話をする自分たちだが、会話の内容はその表情から語られているとは思えないほど恐ろしい内容だった。
そんな俺たちの傍らで顔を引き攣らせるウィルはしばし無言だった。
さて、こいつらを使ってどう親玉を引き出そう…
そう考えていた時だった―――